作詞の勉強本 「目線」と「発想」の拡大が共感を生む物語を描き出す鍵となる
島崎 貴光
歌の歌詞の中で一番使われる言葉は、「愛」なんだそうです。
世の中には本当の「愛」が少ないから、逆に「愛」の歌が求められるんでしょうか。
しかし最近の歌の歌詞を聞いていると、あまりに安直なものが多すぎるのではないか…と思ってしまいます。
なんというか昔はもう少し歌詞に想像力を働かせる部分とか、隠喩的表現があったように思うのだけれど。
今では感情ちょく出しの歌詞が非常に多いんですよ。
映画に例えると、戦争反対というテーマをいいたいだけなら、単に反戦運動に参加すればいいだけの話です。映画でそのテーマを語るということは、いかにそのテーマを物語にうまく反映させて観客に提示できるかだと思うんですね。
歌詞もそれと同じで、例えば恋愛の歌なら、ただ好きだという言葉を使うのではなくて、好きだという感情をもっと具体的なエピソードや行動に落とし込むことが大切なはず(だった)。
作詞家は直接語るのではなく、高度な表現方法を用いていた。そして読み手もそれを理解する経験値があった…と思うのですね。
例えばB’zのZERO(古いなぁ…しかも例として適切かどうか…笑)
どんなにロックをやろうとも、けっしてロッキンオンジャパンの表紙は飾らないであろうB’zですが(笑)、松本のギターテクだけではなく、稲葉の歌詞も結構練りこまれています。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=37114
冒頭の一行、「ぎらぎらした街をぬけ、さっさと家に帰ろう」
このワンフレーズだけで、主人公の背景や想いがわかるんですね。「都会の喧騒に疲れ、(多分仕事にも追われて)、早く自分のテリトリーに戻ってゆっくりしたい…」
たった一行にこれだけの情報量を込められるというのは、かなりすごいことだと思います。
プロの作詞家が解析した、「B’zに学ぶ作詞レッスン」なんて本もあるくらいですからね。(今では絶版ですけどね…笑)
B’zに学ぶ作詞レッスン (『大ヒット曲に学ぶ作詞レッスン』シリーズ)
沢井 昭治
竹内まりやの「純愛ラプソディ」を例にあげてみます。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=39961
一読して、「ああ、片思いの歌なんだな~」と思った人は、もう一回読んでみると、更に違った印象があると思います。
「飛び込んだぬくもりは誰かのものだけど」
で、好きな相手にはすでに恋人がいることがわかります。
「片づいていく仲間達に ため息」
この歌詞で、友人達が結婚していき自分だけが取り残されていく状況(結婚できない恋愛をしていること)を語っています。この一文で「結婚」を印象付けているんですね。
そして問題となる歌詞、
「見えぬ鎖につながれた あなたの心奪うのはルール違反でしょうか(以下略)」
前の一文で「結婚」を印象付けていて、更にこの一文をよく解釈すると、
相手にはすでに恋人がいるというだけではなく、すでに結婚している(見えぬ鎖につながれている)ことがわかるんですね。
実は「純愛ラプソディ」とか言っといて、
バリバリの不倫の歌じゃないですか!(笑)
実際、山下達郎がこの歌を「前向きな不倫の歌」と解説していたので、間違いないわけですが、
それにしても一度聞いただけではちょっと見逃しそうな歌詞ではありますね。不倫の歌としてみるとなんて前向きなんだろう…とちょっと逆に切なくなってくるのですが。なかなか深いです。
さて、話変わって、昔の歌はさらに、本人の感情とは全く真逆のことを、歌ってたりするんですね。
人間なんてなかなか本心を言わないものですから、歌詞だって当然真っ正直なことばかり歌ってるとは限らないわけです。
ちょっとわかり易すぎる例かもしれませんが、もはや知らぬものなき寺尾聰の「ルビーの指輪」。
単に売れたと言うだけでなく、作詞も含めて音楽賞を総なめにした傑作です。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=31578
「孤独が好きな俺さ、気にしないで行っていいよ(以下略)」
これ、全く本心とは逆なんですよね。このやせ我慢というか、男の裏腹な言葉が、別れてからルビーのリングを探してしまうというせつなさにつながってくる。
今の感情ちょく出しの歌とは一線を画していると思うわけですが、どうでしょうか?(え、古すぎるって!?…笑)
今の安直な歌詞が溢れてしまったのは、アーティスト自体が作詞を手がけるようになったせいなんでしょうか?
昔は素晴らしい作詞家がちゃんと心に残る歌詞を作っていたと思うのですが…。
それとももしかしたら、今の世の中があまりにわかりにくくなってしまったから、逆に直接的な歌詞が必要とされているのかもしれません…。
最近の歌詞は安直なのか?
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コメント
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いつも楽しく拝見しています。日本の音楽は昔から恋愛の題材多いですよねー。作詞が直接的という傾向もあるでしょうし、なんだか哲学的なものが皆無な印象です(全部とは言いませんが)。僕が洋楽に手を出したのも、もっといろんな表現があっていいんじゃないか、という疑問からでした。NIRVANAを初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。
Serve the servents - oh,no.(召使いに召し使えろ…ああ、何てことだ)
いつも楽しみに見ています。歌詞に思いを寄せたりを分析したりする男性はいいですね!(笑)戸川純さんの書く歌詞もいいですよ。お薦めします。
こんにちは
いつも楽しく拝読させて頂いてます
最後の一文に共感です
学校でも会社でも本音を出さずに
生きている人達が多いのではないでしょうか
だから歌詞やネットでオブラートに包まない言葉を吐露したいのかも
こんにちは。
>今の世の中があまりにわかりにくくなってしまったから~
難しくなりすぎたのか、
現代の若者の理解力や想像力が乏しくなったのか…
RCサクセションの『雨上がりの夜空に』は
(イロイロな意味で)大好きです!!
直球なのか隠喩的表現なのかは分かりませんが。
近頃のポピュラーな曲で
歌詞がいい曲は皆無ですよね^^;
でも近頃のライブで地道に頑張ってるバンドは
深い歌詞が武器と言われてます!
解散してしまいましたがdownyの歌詞は文学に近いですよ。
気が向いたら聞いてみて下さい。
> bob-0さん
ニルヴァーナは自分もよく聞いてます。
以前「王様」や「女王様」がネタにしたように、洋楽の名曲って歌詞読むとすごい変なものもあったんですよね(苦笑) ただ、そういうのもあるにはあるんだけど、やっぱり深いテーマが描かれていることも多いですよね。
例えばSUM41ってちょっとチャラいイメージがあったんだけれど、ストレートな反戦の歌詞とか歌っていたりする。こういうところに洋楽の懐の深さを感じますね~。
> スワンキーさん
戸川純はハードですね~(苦笑) 確かにすごい存在感あると思います。文学小説家のような、自分を追い込む体質の歌手って、やっぱり怖い存在ではあると思います…。
> かみゆさん
世の中が余りに悲しいニュースばかりになってしまって、みんな癒されたいという想いが強いのかもしれませんね。そんな中で癒し系の歌が流行るのはよくわかる気がします。
> !! さん
『雨上がりの夜空に』はずっとエロい曲だなぁと思っていたのですが、表向きの意味もあったんですね。そういう色々な解釈が出来る歌詞は面白いですよね~。
> cosさん
downyというバンドは知りませんでした。ちょっとチェックしてみます。
バンプ・オブ・チキンとかも好きなんですが、あれも歌詞にストーリー性がありますよね。そういう歌詞で読ませるバンドや歌手がもっと増えてもいいと思うんですけどね~。中々難しいのかなぁ。やっぱり恋愛の歌が一番売れるんでしょうね…。
お久しぶりの記事ですね(笑)。
AlcesteさんはもしかしてB'zファンですか??
いやしかし、最近の音楽って毒にもクスリにもならないものが多いですね。
個人的な嗜好ですが、歌詞が凄まじいと思ったのはthe back hornです。
> ゴリポンさん
はい、若い頃はB'z聞いてましたよ。B'zを経て洋楽聞くようになったので。ただ本当の洋楽好きからはB'zは嫌われてること多いですから、その辺はなるべく隠すようにしています(苦笑)
最近森山直太郎が書いた歌詞が賛否両論を読んでたりしますよね。深い歌詞を書いても、それを読み取る側に問題がある気もします。
たった十数年前の曲が昔の曲wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
これはひどい懐古気取りwwwwwwwwwwwwwwwwww
確かに今の歌には情熱が無いっつーか パンチがここでは初めて投稿します 確かに最近の歌には何か足りないっつーか とにかくどれもこれも同じように聴こえる え? この程度でプロ語ってんの的なやつばっかだし 愛だの好きだの絆だの逢えるだのと同じ言葉がぐるぐる回ってるなとひしひし思う ここまでくるとお前等他に何か無いんかい と思わずつぶやいてしまった時もある メロディーも何の雰囲気とかを伝いたいのかさっぱり分からん どう? 俺かっこいいでしょ? 私可愛いでしょ?みたいな
確かに今の歌には情熱が無いっつーか パンチがここでは初めて投稿します 確かに最近の歌には何か足りないっつーか とにかくどれもこれも同じように聴こえる え? この程度でプロ語ってんの的なやつばっかだし ここまでくるとお前等他に何か無いんかい と思わずつぶやいてしまった時もある メロディーも何の雰囲気とかを伝いたいのかさっぱり分からん どう? 俺かっこいいでしょ? 私可愛いでしょ?みたいな
ここでは初めて投稿します 確かに最近の歌には何か足りないっつーか とにかくどれもこれも同じように聴こえる え? この程度でプロ語ってんの的なやつばっかだし ここまでくるとお前等他に何か無いんかい と思わずつぶやいてしまった時もある メロディーも何の雰囲気とかを伝いたいのかさっぱり分からん どう? 俺かっこいいでしょ? 私可愛いでしょ?みたいな