デザイナーとパタンナー


一人の人間がデザインとパターンを行うというのは理想的ですけど、実際は中々そうはいかないのではないでしょうか。

パタンナーとデザイナーの違いを考えるに、パタンナーがパターンの専門家なのに対して、デザイナーはディレクターみたいなもので、パターンに精通していなくても出来てしまうということでしょう…。
現にパターンの引けないデザイナーというのも少なくないようです。




昔パタンナーをやっていた人から聞いた話では、そういうデザイナーからもらったデザイン画には、平面の生地から作るのは実現不可能な物もあるのだとか(笑)
パタンナーはそれを「ここにダーツを入れる必要がある」とか「ここに切り替えを入れないと成り立たない」ということを再度デザイナーに伝えて、なんとか実現可能な形にしていくそうです。
理想的なデザインを高いレベルで実現するには、パタンナーの実力も欠かせないということなのでしょう。

パタンナーにデザイン力があれば、立派にデザイナーとしてひとり立ちすることだって出来るでしょう。
またパターンを理解していて自らパターンを引くデザイナーだっていないわけじゃない。
ただそれだけの才能を持ち、時間的拘束の中でデザインできる人は、中々少ないのかもしれませんね。

デザイナーとパタンナーが話し合い、刺激しあって斬新なデザインを作り上げていくこともあるでしょう。
ato(アトウ)では服一点一点にパタンナーの名前が入っています。ギャルソンなどでは、デザイナー本人だけでなくデザインチーム全体でデザインを行っていることなどがインタビューなどで語られていますしね。

そういう意味では、昔よりもパタンナーの重要度が上がっているのだとも思います。
デザイナーの理想や思想と、パタンナーの現実、それに生地や縫製工場なども含めて、共同作業によってより良い作品が生み出されていくことを何より楽しみにしたいですね。

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コメント

  1. テル より:

    たびたび、失礼いたします。
    個人的に、イッセイ・ギャルソン・ヨウジは日本人が思っているより凄い事を実現したと思っているのですが。デザイナーとパタンナーの関係で言えばこの3つは、まるで木下と溝口とマキノ(雅弘)の演出術(助監督や脚本家に対して)ぐらいの違いがありますよね。「自分で考えて下さい」(溝口)「こうやで」とささっと直す(マキノ)一緒に仕事をすると何が大事が解ってくる(木下)誰が誰かはご想像に任せます。

  2. Alceste より:

    御三家はやっぱり偉大だと思います。世界に初めて挑戦して、認められるようになるってのは、どの分野でもすごいことですしね。

    演出家、監督さん達の名前は恥ずかしながら知りませんでした。一応調べてみたのですが、その個性までは把握できなかったのですが。
    「自分で考えて下さい」が川久保玲ですよね?残り2つはちょっとわからないですけど。
    なかなか面白い例えで参考になりました。

  3. テル より:

    ちと、マニアックですいません。
    ヨウジは、マキノ的...ヴェンダースの
    映画で仮縫いの時の様子は厳しくて優しい
    先生の様です。又、最近滝澤直己が初めて小物のデザインを任されたときのエピソードで何回もダメだしくらって半年で辿り着くのは、山田太一やら松山善三らの脚本家を育てた木下的。余計判らなくしてしまいましたか(謝)ちなみに、溝口健二は小津安二郎に陶器の真贋でからかわれてます。

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