SPUR (シュプール) 2011年 10月号 [雑誌]
ついにッ!!ファッション業界にまで荒木飛呂彦が侵食しているッ!
荒木氏のグッチネタの漫画付録つき「SPUR 2011年10月号」は即完売ッ!
今やネットでもプレ値で取引されている状況…。
それに合わせて新宿グッチで行われている『荒木飛呂彦×GUCCIコラボ展』は毎日長蛇の列とのこと。
カルト的人気を誇っていた荒木先生の凄さも、ついに一般人にまで広く浸透した、といっても過言ではないィィィーッ!
というわけで、今回は知られざる荒木飛呂彦の伝説について語ってみたいと思います。
(まぁもう随分古い話だし、時効だろうと思うので…)
かつて荒木飛呂彦がジャンプ漫画賞の手塚賞を取ったときには、滅多に人を褒めることのない手塚治虫が、「こいつは、天才だ…ッ!」と語ったとかなんとか。
真偽はともかくとして、そんな逸話が色々あるわけです。
ジャンプは昔からストーリーよりもキャラクターを描くことに力を入れている漫画雑誌でした。
その編集方針の根幹にあるのが、下記の考え方です。
「物語の基本パターンはすでに出尽くしているし、どんなに優れた物語も人の記憶からは忘れられてしまう。
しかしキャラクターには無限の可能性があり、優れたキャラは読者の記憶に永遠に残る」という話。
確かに言われてみればその通りだと納得です…。
かつてのジャンプでは人間ドラマを描ける漫画を「語り口がうまい」と評したそうですが、
実際キャラクターを推すあまり、人間ドラマを描ける人は少なかったと考えられていたそうです。
ジョジョ第三部から第四部辺りは丁度ジャンプが600万部を誇っていた時代です。
ドラゴンボールやスラムダンク、幽遊白書といった爆発的に売れた漫画がたくさんあったわけです。
そんな状況下であっても、編集者曰く
「今のジャンプで本当にドラマが描けるのは荒木先生だけッ!」と言われていたそうです…。
(その話を直接聞いた友人は「○○先生だって、凄いじゃないですか…!」と編集者に聞き返したら、
編集曰く「○○先生はキャラクターの人だから…」と返されたとか…)
そんな荒木飛呂彦の漫画に対するエピソードの一つに、こんなものがあります。
ジョジョ第四部、「山岸由花子はシンデレラに憧れる」。
愛に出会うメイクを行うスタンド使い「シンデレラ」の話。
当初この話のラストは、違った形で終わる予定だったそうです。
山岸由花子が「シンデレラ」の約束を守らず、自らの顔自体を失ってしまう。
顔を取り戻そうとする山岸由花子は「シンデレラ」から、ただ一度だけ、沢山の顔の中から自分の本当の顔を選ぶことができれば、元の顔に戻してあげるという条件を突きつけられます。
しかし失敗すれば一生酷い顔になるという、恐ろしい選択を…。
そこに広瀬康一が現れ、山岸由花子は好きな広瀬康一に全ての選択を任せる。
広瀬康一は見事に山岸由花子の本当の顔を選び、見事にハッピーエンドになる。というオチでした。
一度は編集者もそのラストにOKサインを出した。
しかし荒木飛呂彦はそんな都合のよいラストでは読者が納得できない、共感できないと考え、自ら結末を描き変えたのだそうです。
週間連載という常に締め切りに追われるハードな状況の中で、編集者が一度OKを出したネームを自らダメ出しする…とても考えられないような話です。
また当時の編集者の話では
「週間少年ジャンプの購買層は中高生だが、荒木先生が本気を出すとその中高生たちが置いてけぼりをくらってしまう話になってしまう。
だから荒木先生はあえて中高生にも共感できるように描いている」とのことでした。
青年誌に移ってからの荒木先生のぶっ飛びっぷりは、そんな理由もあるのかもしれません。
まぁ真偽の程はともかく、面白い伝説ですね。
本当の意味で「老いてますます若い」、荒木先生の活躍っぷりに今後も期待したいと思います!