最近マンガ原作のドラマがやたら増えつつあるなぁと思っていたのですが、今期のドラマは原作が漫画、しかも少女漫画物が非常に目立ちます。
ざっとあげてみると、
「ライフ」、「山田太郎ものがたり」、「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」、「ホタルノヒカリ」、「BOYSエステ」、(「まるまるちびまるこちゃん」もか?(笑))と少女漫画原作ドラマが五つもありますよ。
それと少女漫画以外にも、「山おんな壁おんな」とか、「探偵学園Q」、「女帝」、「島根の弁護士」、「はだしのゲン」 なんかもありますね。
ウィキペディアの「アニメ・漫画のテレビドラマ化作品一覧」で確認すると、実際ここ2~3年で漫画原作ドラマが爆発的に増えているのが良くわかります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BB%E6%BC%AB%E7%94%BB%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E5%8C%96%E4%BD%9C%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7
(少女)漫画原作ドラマの草分け的存在は「東京ラブストーリー」だったと思うんですが、当時はそれでも漫画通りではなく、きちんとドラマ用に脚本を作り変えていたと思うんですね。当時のドラマでは、心理描写を独白するような安易な手法はほとんど使われてなかったですし。
ところが最近の漫画原作ドラマはかなりチープになってきているように思います。
ドラマ用に脚本をあまりいじらず、平気で心理描写のナレーションが続いたりしていますし、漫画なら読み過ごせるリアリティのない漫画的展開も、普通にそのまんま使われてたりしますし。ドラマ自体が低年齢化、漫画化してきている気がします。。
正直ドラマももうネタ切れなんじゃないのか? それだけ脚本家、製作者側にオリジナル作品を作る力がなくなってきているんでしょうね。(これは映画も同じか)
その逆に、漫画原作で簡単に数字が取れることがわかってしまった。この傾向は今後更に拍車がかかると思います。
ただ今連載中の漫画をドラマ化するだけでなく、近年古い漫画・アニメを再映像化するのも増えています。キューティーハニーとか、デビルマン(大失敗でしたが)、キャシャーン、どろろ、などなど。ただこちらは成功しているとは言いがたい状況です。
ちなみにこちらのページも今の漫画業界の参考になると思います。
http://mantanweb.mainichi.co.jp/web/2006/12/nana.html
ただ漫画業界全体が活気があるかというと、一概にはそういえるわけではないようです。
特に少年漫画にいたっては、新たな漫画界のキラータイトルを生み出すことがほとんどできていない。
デスノートはテーマ的に本来少年誌向きの作品ではないですし(しかもオチもテーマ性の解決も映画版の方が越えてしまった…笑)、ワンピースは確かに別格ですが、今や終わらない漫画と化しているところもありますね。
今では過去のヒット作品のキャラクターを使いまわした、続編物が数多く出ています。特に週刊少年ジャンプ黄金期の北斗の拳、キン肉マン、聖闘士星矢、リングにかけろ、キャプテン翼、シティハンター、他色々。
ジャンプの編集方針は、「ストーリーはパターンが決まっていて限界があるが、魅力的なキャラクターは永遠に人々の心に残る。だから個性的なキャラクター作りに力を入れて、ストーリーは基本パターンを当てはめていくだけでいい」というものでした。これは確かに一理あると思うんですよ。
ところが今では、筋運びはマンネリ化してしまい、新たな魅力的なキャラクターを生み出すことも中々うまくいってない。その結果、過去の作品の破壊力のあるキャラクターのリバイバルばかり行われるようになってしまった。月刊少年ジャンプが廃刊になったりと、少年漫画業界もどんづまり感がある気がします。
ところがひとり少女漫画業界だけが気を吐く状態です。
2005年の映画「NANA」の大ヒット、そしてそれに続いた「ハチミツとクローバー」、「のだめカンタービレ」で、少女漫画が売れることがわかってしまった。まだまだ開拓されていない分野なので、手垢のついたネタではなく、面白い原作となりえる作品が数多くある。
それとテレビ・映画が最もターゲットの主としているのは、やはり若い女性だと思うんですね。
少女漫画は乙女受けする恋愛要素が大きく、かつ作品にまだまだ未知の可能性がある。少年漫画ほどとっぴな設定がないので、ドラマ化、映画化などメディア展開もしやすいのでしょう。
集英社の少女漫画新人賞、金のティアラ大賞では、最大500万円の賞金が出るそうです。通常の少年漫画新人賞が50万程度に比べると、いかに少女漫画家の発掘に力を入れているかがわかります。
今後は少女漫画全盛期に入っていくのでしょうか…。それはとても期待が持てることだと思うけれど、1人の少年漫画ファンとしてはちょっと寂しいような気もします…。