今日はスーツに合わせる「ドレスシャツ」の話です。お洒落な人は「ワイシャツ」なんて呼ばないそうで、でもワイシャツちゃうんか?という気がしないでもないですが(笑)
ところで「ドレスシャツ」は、大抵ネックサイズ(首周り)であわせます。ところがこのネックサイズ、同じサイズ表記のくせに各メーカーによって全く実寸が違うのです!
実際にはゆき丈(首裏から袖先までの長さ)も重要なのですが、その点は結構アバウトな事が多いのも謎です(笑)
ただネックサイズとゆき丈は比例する関係にあるといえます。それはゆき丈が単純な肩と腕の長さで決まるわけではないからです。ゆき丈は首や肩まわりの肉付きによっても相当変化するのですね。
極端なことを言うと、同じ身長、骨格の人でも、太っている人と痩せている人では、ゆき丈が変わってくる。当然太っている人の方がネックサイズが大きく、ゆき丈も長くなるわけです。5キロ位太るとネックサイズどころか、ゆき丈もセンチ単位で変わる事があるわけですし。ということでネックサイズでゆき丈まで想定するのには、一応理屈があると言えます。
ところでネックサイズ自体の正しい表記(実寸)とはどういったものか、以前シャツオーダーの職人に質問しました。
実際には、ボタンの付け根から、ボタンホールの端っこから5ミリ内側(つまりボタンホールの真ん中辺り)までの実寸で決まるのだそうです。
つまりネックサイズ40センチなら、実寸で40センチ、ボタンホールの端までは40.5センチになるわけです。
ところがですよ、実際既製品のシャツを計ってみると、全く違うのですからビックリを通り越して、不良品じゃねぇのか!と食ってかかりたくなってきます。例えばアローズのシャツを見比べたところ、同じネック37センチでも場合により1センチ位の違いがある…。
イタリア製品に関して言うと、なぜか実際のネックサイズより実寸大きめのものが多いのです。
バルバでいうとサイズ37でも実寸38はある。オマケに同じ型でも実寸が違うこともある。ところがグリフォーニは37表記でも36しかない…。
アローズでは何とかシャツ試着させてもらえるからいいけれど、実際には試着不可の店の方が多いわけで、買う側としてはどうすりゃいいのか?お前ら消費者ナメてんのか!とマジギレ寸前です。
ネックサイズの選び方もシャツ選びの難しさに一役買っています。一般には首周りの実寸に2~2.5センチ足したものが適正サイズとのことです。自分の場合は実寸34.5なので、37ということになります。
ボタンを留めたとき首周りに指2本分位のゆとりが必要というのが説ですが、服飾評論家の中には「指1本入るか入らないか位のジャストサイズを着ろ」という人もいます。(オマエラ、意見を統一しろよ!)
実際これには私見があります。服飾評論家達は中年になり、体系的にも丸みを帯びてきた世代です。ネックサイズぴったりのものを選んだ場合、中年男性が首を動かしても、単に首周りの贅肉が食い込むだけですが、若く痩せた首周りに贅肉のない世代にとっては、首回すたびに気管がしまって窒息します(笑)
年齢や体形によってもネックサイズの選び方は変わってくると思うわけです。(雑誌等はこのことをもう少し考慮すべきではないのかと思います…)
しかもシャツは難しいことに、生地によっては1センチ近く縮んだりするわけですよ、これが…。特に綿の厚地のものは最低でも5ミリはしまります。
ここまで来ると、長年の経験とカンに頼るしかない…。「この生地は縮みそうだから、縮み寸を考えてワンサイズ上にしとくか…」なんて、まるでギャンブラーじゃないんだから…。
先の縮み寸やら、襟越しの高さによるフィット感の違いまで考えると、正直サイズ選びは一筋縄では行かないのですね。自分も何度もサイズ選びで失敗しています。
しかもオーダーするにしても同じ悩みはつき物なのです。職人が幾ら凄腕でも個人のフィット感の好みまでは中々わかりにくいでしょうし。
男のお洒落はミリ単位という名言がありますが、結局ジャストサイズを選べるようになるためには、長年の経験が必要なのでしょう。
着道楽とは金も時間もたっぷりかかる趣味なのです…。大丈夫かな、オレ…(苦笑)