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去年の年末の話になりますが、ワダエミ展に行ってきました。
ワダエミさん自身は、映画などで活躍する世界的衣装デザイナーです。
単なる衣装というよりも、非常に色彩感覚に優れた衣装デザインを発表しています。
その代表作である映画「HERO(英雄)」では、シーン毎に使われている色彩を変えているんですね。もちろん衣装もそれにあわせて赤や青、白、緑といったように全て色分けされているのですが、これが見事の一言!
例えば布地一つにとっても、理想の赤い色を出すために何度も染色に失敗したそうで…。そうやって苦労して生み出された布地だからこそでしょうか、あでやかな赤やオレンジ、ブルーが眼に焼きつくほどのまぶしい色合いを放っていました。
また本人が書いたデザイン画も展示されていました。こちらも物によってはかなり細かいところまで描かれ指定されていたりして、なかなか作り手の意思が読み取れたりして面白かったですね。
展示会中で嬉しかったのは、一部衣装に直にさわれるコーナーがあったこと。
大抵のところでは展示物には「手を触れてはいけない」と但し書きが書かれているもんですが、そこに限ってはおさわりOKということで、ここぞとばかりに触りまくってしまいました(笑)
もう裏地はどうなっているのかとか、縫い付け方はどうなのかとか…。舞台衣装は縫製がいい加減だという話を聞きますが(笑)、思っていたより全然まともに作ってありましたね。
全体的には展示量も多くなく、サッパリした印象だったのですが、やはり「HERO」の衣装が豊かな色彩感覚でダントツによかったかと思います。
ワダエミの展覧会を見て思ったことは、やはり彼女も「一流」なのだということでした。
ワダエミ氏は黒澤明の「乱」で衣装デザインを担当したのですが、かの黒澤明もやはり自分の取りたいシーンが取れるまで納得しないような完璧主義者でした。ワダエミもそれと同じように、自分の納得できる作品ができるまで遣り通すタイプ。
インタビュー映像で描かれていたのですが、映画「HERO」の舞台衣装は中国で染色を行ったものの、中国の水が硬水で思うような色に染まらず、なんとトラックいっぱいの大量のミネラルウォーターを取り寄せて染色をやり直したそうです。その微妙な色合いを出すために何百メートルものシルクを無駄にしたと言っていました。
はたしてそこまで観客が見ているのだろうか?と疑問もあるのですが…(笑) でも決して自分の仕事に対して妥協を許さない姿は、かの黒澤監督を髣髴とさせ、やはり彼女も完璧を追求する一流のクリエイターなのだということを痛感させてくれました。
彼女もまた一流であるがゆえに、人を感動させる力を持つのではないでしょうか…。