ブラックバレット バイ ニール・バレット(Blackbarrett by Neil Barrett)


遅ればせながら、ブラックバレット バイ ニール・バレットを見てきました。

感想は、「手堅い」、そして「ニールバレットらしさを出しつつも非常にシンプル」。
今更解説は不要かもしれませんが、一応知らない人のために説明しておきます。ニールバレットはグッチ、プラダのメンズデザインを務めた後、1998年に自身のブランドで華々しくデビューを飾ったデザイナーです。

初期の頃はミニマルな中にもギミックやディテールで遊びを出したデザインが多く、何より価格も安くて非常に嬉しいブランドでした。

ブルゾンなどのカジュアル類がうまいというイメージが強く、当時の服は自分も幾つか持っています。

その後は流行に流されすぎず、よい意味で中庸なモードスタイル、シャープなシルエットを構築していきますが、値段も高騰して今ではラグジュアリーブランド並みの価格帯になってしまいました…。(今ではとても手が出ないですね…苦笑)

とにもかくにも、非常にバランス感覚のよい玄人受けデザイナーという印象があります。

そんなニールバレットが、今期、三陽商会とライセンス契約を結び、世界初となるセカンドライン「ブラックバレット バイ ニール・バレット」を立ち上げました。今もっとも注目度の高いブランドだと思います。
価格帯はポールスミスやタケオキクチ、コムサデモードなんかと同じなので、非常に良心的ですし(笑) (ジャケットで4万弱から、シャツで1万5千円くらい)

商品の構成はどれもとてもシンプルでした。
正直「これが売り」となるデザインはないのですが、逆にあざとさがなく、コムサデモードのような流行色が強すぎる物もないので、非常に取り入れやすい。
着丈の短いモードなJKもありますが、ギリギリオンでも使えそうなスーツも用意してありました。

三陽商会のライセンスだけあって、縫製、素材も手堅く作られています。あえて言うなら遊びが少ないかなぁという感じですかね。
でも雑誌ポパイの解説や、店員さんからの説明でも、一応ニールバレット側がデザインをチェックしているということなので、その点でも安心ですね(笑)

モード入門には適したブランドだと思います。


と手堅く評論をまとめたのですが、ここから先は他と違った視点で、もっと切り込んでみたいと思います。
ブラックバレット バイ ニール・バレットを見て一番驚いたのは、ストレッチジャケットです。

その素材に使われていたのは、ポリウレタンストレッチではなく、指定外繊維「ダウXLA」というものでした。
「ダウXLA」は最近開発された新素材で、今までのストレッチ素材に比べて格段の耐久性とストレッチ性を併せ持ち、経年劣化もほとんどないという特性を持ちます。

(下記サイトに詳細なデータがのっています)
http://www.toyobo.co.jp/seihin/lf/polyore/dow/index.htm

主にスポーツ用品やインナー類などに使われていたのですが、スーツに使用されたのはあまり例がなくつい最近のようです。

三陽商会側からの提案なのか、ニールバレット側からなのかどうかはわかりませんが、こういったこだわりがやはり素晴らしいと思いますね。
(ただ、同じ三陽商会のバーバリーブラックレーベルやニールバレットの服でもポリウレタンストレッチが使われているので、どちらからの提案なのかはわからないのですが…)

ポリウレタンストレッチ素材は劣化により3年程度(長くても5年)が寿命といわれています。しかしそれでも多くのストレッチ服に使われているんですね。
プラダの定番ストレッチスーツや、今期2007年秋冬のコムデギャルソン・オム・プリュスのストレッチスーツでさえも、ポリウレタン素材を使っているのが現状です。

はっきり言うなら、アパレル業界全体が劣化する素材を何の説明もなく売っているわけですよ。
(もちろん用途や製法により適した素材があるとは思います。また加工方法によっては経年劣化を多少抑えることもできるようです。しかしそれにしても今のポリウレタンの使われ方は安易過ぎると思うんですね)

そんな中いち早く新素材を使用し、しかも低価格で提供してくるブラックバレットの服は、ある意味根本からデザイン発想が違うのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。
ニール・バレットの商品をお探しの方はこちら

SNSでもご購読できます。