Sise(シセ)~若手デザイナーズブランドの描く少年性


去年のことになりますが、まだ無名に近い若手ブランド、Siseの展示会を見に行ってきました。

Sise(シセ)、少年性をコンセプトにモードとストリートを融合させている若手デザイナーズブランドです。
http://sise.jp/

去年の展示会は少年性をテーマにしたブランドらしく、廃校になった学校の教室を使って行われていました。
ちょっと面白い取り組みです。

展示会にはデザイナーとプレスの方がいたのですが、両方ともがデザインコンセプトを体現したような、長身細身の中性的な男性達でした。

実際服を見た感じは、イメージ論になってしまいますが繊細さ、透明感、ユニセックスという物がよく表現されていたと思います。


基本のシルエットは、非常にタイトなトップスに、ウエスト周りからキレイに広がる腰履きのワイドパンツ。
定番的に作っているジャケットは相当の細身で、芯地を一切廃したレディース的な作り。
男性が着るとフェミニンに、女性が着るとマニッシュに見えました。
着る人によって表情の変わる中性的な感じ。

またジャケットも物によっては大胆なアシンメトリーなのに、それでもジャケットとしての基本は崩さない、デザイン過多になり過ぎてない物があり、非常に好みでした。

ワイドパンツはポケット周りだけ布を余らせてダブついた感じになるようになっていて、はくと独特のシルエットになります。

またジャケットの裏地などに目立つ柄物が配されていました。
裏地で遊びを入れるというのは、どのデザイナーも使う割と定番のデザインだと思います。
ただSiseの場合はそこにモードを崩すような大胆なストリート風味の大柄を持ってきていて、そのアンバランスさがまたこのブランド特有のユーモアを作り出していたように思います。

少年性がテーマのモードというと、やはりかつてのラフシモンズやそれに影響されたドメスティックブランドが想像されるのですが、その手の物の場合、大概が音楽(特にロック)をキーワードにしています。
ところがこのSiseはほとんど音楽的なテーマのアプローチは無かったですね。
(いや、実際はデザイナーさん的にはあったのかもしれないけれど、そこは主張されてない感じでした)

「モードとストリートのミックス」というのも今まで無いわけではないと思うのですが、その解釈が古臭くないので、今の時代に即したスタイルを提案していると思います。


ただ実際買うとなると、ちょっと目に付く問題もあります。

一つは値段が高い(笑)。
ジャケット一着で7万とか10万は、ギャルソンなどの日本のトップブランドと同価格。
これだとさすがに若者には手が出にくいですよね…。金銭的余裕があるか、相当の服オタじゃないと躊躇してしまうのではないでしょうか?
もっと浸透してお手ごろな値段になれば、より訴求力が出てくると思うのですが。

そしてもう一つ、ほとんどの物がワンサイズ展開ということ。
そして最後に、展開数が少ないということ。ジャケットやパンツで数型、Tシャツ類まで合わせても20型ちょっとしかない。
まだ売り出し中のブランドだけにサイズ展開やパターンを増やすのは難しいとは思うのですが、これでは購入者層が狭まってしまうと思います。

上記にあげた3つはネックだと思います。
(ただサイズ展開やパターン数は今後改善されていく予定とのこと)
とはいえこういう繊細な少年性を前面に押し出して、モードとストリートミックスを追求するブランドは、非常に面白く個人的には新鮮でした。

今年3月は渋谷パルコに期間限定ショップをオープン。徐々に注目を集める存在になってきているようです。
更なる飛躍を目指して、挑戦し続けて欲しいと思います。

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コメント

  1. matsu より:

    こんにちは。とても参考になる記事が多いので楽しいです。
    さて、質問なのですが、自分は普段デニムばかり穿くのですがルーズフィットばかり穿いてます。ですが、なかなか着こなすのが難しくて困ってます。何かアドバイスやコツなどはございますか?ちなみにD&Gばかりです。(汗) 

  2. Alceste より:

    > matsuさん
    自分は全くと言っていいほどジーンズをはかないんですね。またルーズフィットやワイドパンツもあまり持っていません。
    ただ一般的にルーズフィットパンツの合わせ方として、ヒップラインが綺麗に出ているかどうかというのがあるようです。ルーズフィットでもおしり周りがダボダボだとすっきり見えないですから。鏡でバックスタイルをよく確認するのがよいのではないかと思います。

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