01 ファッション考察

絵描きはなぜ服を勉強しないのか?~ヌードデッサンの不思議~


今でこそSEなんて職業やってますが、実は美術系学校に通ってました。(真逆やんっ!)

当然ヌードデッサンもしました…。イヤ、人が思うより忍耐力が必要で苦しい作業ですよ、ホントに(笑)
美大なんかじゃ顕著ですが、絵を描く皆さんはデッサン(特にヌード)をそれこそしゃにむに描きまくります。中には骨格や筋肉のつき方まで研究する人も少なくないです。

しかしいつも疑問に思うんですが、なぜそれほどヌードデッサンには執着するくせに、服については勉強しないのか?

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クリーニング攻防記


洋服好きなら誰もが知ってるコムデギャルソン。川久保玲が作る前衛的なデザインは、一般人には受け入れがたくとも、熱狂的なファンを生み出すほどのパワーがあります。かくいう自分は信者ではないけれど、ここの控えめなデザイン物が好きなので結構…というか相当持っていたりします…。

しかしそんな優れたデザインの洋服も、困るのがクリーニング…。

縮絨加工(熱や薬品で生地を縮ませた物)や裏地にびっしりフリルが入ったJK、裏表逆のシャツとか。2重につながったJKやパンツにいたってはクリーニングの値段さえわからない(笑)

どのクリーニング屋さんもその辺は結構わかっていて、ギャルソンの洋服を持っていくだけで…必要以上に気を使ってくださいます(笑) 多分今まで相当苦労されたんじゃないかと…。「いい服をもってますね」とかけてくれる声も、ひときわ緊張感に満ちています(というといいすぎか?)

その上自分もダメ押しの一言、「値段は倍でもいいんで、丁寧にお願いしますっ!」(笑)
いつもクリーニング屋さんには迷惑とプレッシャーをかけてます…(笑)

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さまよえる装苑賞


7月号の装苑は、第80回の装苑賞の発表でした。
http://www.bunka.ac.jp/soen/

装苑賞といえば現役の有名デザイナーを多数排出している、由緒正しいファッション賞の一つです。
しかし最近の装苑賞の発表を見るたびに、自分はどうも落胆してしまうことが多いのです。

特に今回は選考が荒れたようで、審査員たちのコメントも微妙な物が多い(笑) というか本音は応募作のレベルの低さに辟易している感じが伝わってくるんですよね…。
山本耀司なんか「今回は審査が大変困った。自分はもう古いのかな。今回は(なにがよいのか)よくわからなかった…」と暗にダメだししているわけですよ。

今回装苑賞を受賞したのは、バッグが洋服に変身するというちょっと変わったコンセプトの作品。バッグから人が現れる姿はまるでエスパー伊藤です(笑)
バッグが洋服になるというアイディア自体は目新しい物ではないと思うのですが、とにかくバッグに隠れていた人が現れて、洋服になるというコンセプトは面白い。ただそのアイディアがきちんと昇華されていたか…というと、どうも未消化だったように思えてならないのです…。

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世紀末のモードはどこへ消えた?


20世紀末、およそ98年~2000年はメンズモード界が爆発した時期だったと思います。

今じゃ信じられないかもしれないけれど、モードが隆盛を極めたいい時代もあったんです…。

まずコムデギャルソン・オムプリュスは、ライフワークともなりえる、表裏逆のシームが表に出たデザインを発表。爆発的人気で、立ち上がり(新作初回発売日)から全ての商品がほとんど完売するほどの勢いでした。

バーニーズニューヨークなんて、プリュスコーナーが何もなくなってしまうほどだったとか…。(ちょっと大げさか笑) とにかくあの頃はギャルソンなどの立ち上がり待ちに行列ができるくらいの人気でした。

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クロケット&ジョーンズは本当に良い靴なのか?




<関連記事>(2010/8/29追加)
クロケット&ジョーンズと三陽山長の革靴を比較してみた!

クロケット&ジョーンズと言えば、6万前後の中価格帯で最も人気の高い英国靴。
高品質とうたわれ雑誌でも特集されるなど、知名度やメディアの評価もかなり高い売れ筋商品です。

しかしそんな人気のクロケット&ジョーンズは、本当に良い靴なのでしょうか?
今日はそんな疑問を解析してみたいと思います。

先日新宿伊勢丹の靴売り場をのぞいていたら、クロケット&ジョーンズの靴を探している若い男性客と店員のやり取りに遭遇しました。

ところがその靴はあいにくサイズ切れだったようで、店員は代わりにほぼ同一デザインのグレンソンの靴をお勧めしてました。ところがその男性客は、「グレンソンなんて知らないブランドなんか欲しくない」とばかりに、露骨に嫌そうな態度を取ったんです…。

それを見ていて、ブランドネームだけで物を選ぶことがすごく滑稽に見えてしまったのです。

クロケット&ジョーンズは確かに人気のある靴ですが、実は見た目でわかる部分はそこまで手が込んでいないんです。

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クールビズの是非


今年もクールビズの季節がやってきました。

うちの職場も去年から導入されましたが、実際にはスーツじゃなくてだらしなくなった人と、逆に変に気張りすぎた人と極端に分かれてしまった気がします(笑)

クールビズという発想自体には賛成です。

地球温暖化、今や東京砂漠を地でいくわけで、シャレじゃなく死人が出ます…。

人前で上着は脱がないのがスーツのルールだとか言ってクーラーガンガンにつけるオッサンは、ひざ掛けまで使ってる冷え性女性への配慮が足りなさ過ぎる!環境にも無関心ですか?

そりゃスーツの着こなしは大切です。でもこの亜熱帯化した東京で、気候も湿度も違う欧米のルールを無理やり踏襲するのはどうかと思うのです。見た目の紳士を追及するよりも、心も紳士的であって欲しいわけです。

ただ、スーツ反対かというとそういうわけでもない。

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洋服の左右対称について


洋服の縫製の良し悪しはどこで見分けるのが良いのか?

色々見分け方がありますが、その一つに「作り手が最も難しいと思う部分をチェックする」というのがあります。スーツの上着なら「アームホールや肩周りの立体感を確かめる」とか、「エリののぼり具合やフィット感を確認する」とか。

ところがそんなマニアックなところでなくても、もっと簡潔な部分で、ベテランのスーツ職人でさえ作るのが難しい部分があるんです。

それは洋服を左右対称に作るということ。

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「脱オタクファッションガイド」を読んで


脱オタクファッションガイド 脱オタクファッションガイド 久世オーム社 2005-10-26
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「脱オタクファッションガイド」という本が出版され、増刷につぐ増刷でかなり売れている様子。前々から気になっていたので買って読んでみました。

「脱オタクファッションガイド」は、同名のファッション初心者向けサイトを元にした、初心者向けファッション指南本です。

コンセプトはずばり、「脱オタしてこざっぱりした服装になり、女の子にモテたい!」です(笑)

初っ端からマンガによる解説で、アキバ系オタク青年がファッションに目覚めていく過程が書かれていたり、豊富なイラストとわかりやすい章立てでファッションの初歩から丁寧な説明がされています。かつてこれほどファッションを全く知らない人に向けて書かれた本があったか?というほどの親切さです。

実は初心者向けのお洒落指南本というのはほとんどないわけで、そういう意味でもこの本は貴重だと言えます。ファッションど素人がお洒落に目覚める手始めには、お勧めだと思います。

しかし、実際この本を買ってまでして、初心者のお洒落に役立つか?と言われると、実は微妙なところも多いと思うのです。

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メイクアップ~化粧品の不思議


男の知らない女の世界、そんな数ある未知の領域の一つが化粧品ではないでしょうか。今日はメイクの不思議にせまってみようと思います。

なぜいきなり化粧について書こうかと思ったのか、実は最近「湘南乃風」の「純恋歌」という曲を聴いて、その歌詞の内容にあまりに納得がいかなかったんですよ。というのもその歌詞の中に、「ケンカした彼女と仲直りするために、パチンコの景品の化粧品をとってきてプレゼントした」というくだりがあったわけです。

しかし実際そんなもんもらって喜ぶほど、世の女性は無神経ではないはず。

女性にとって化粧とは、ファッション以上に神経を注いでいるもんなんです。その女性の気遣いに男性はあまりに無関心すぎると思うんですね。

「いやいや、プレゼントは気持ちの方が大切だろ」と言う人もいるかもしれませんが、むしろパチンコの景品でご機嫌をとろうとするようなセコイ男の行動は、自己満足の押し付け以外の何物でもないでしょう。

プレゼントは、本当に相手ことをよく考えてあげることが最も大切なのです。よく知りもしない化粧品をプレゼントすることが、いかにいい加減な考えかを痛感すべきではないのでしょうか。

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洋服は使い捨てられるのか?


自分は食にそれほどこだわりのない方ですが、箸(ハシ)にはすごくこだわりがあることに気がつきました。

長くて四角のこげ茶の木製箸じゃないとどうもしっくりこないのです。たまに旅館なんかで丸い短い箸出されると、妙に居心地が悪い気分になったりして。

ところがそんなこだわりある自分でも、昼間に会社で弁当食べるときには当然のように割りばし使ってるわけですよ。割りばしは消費社会を象徴するように、使い捨てが定着しているものなんですね。誰もそれに疑問を抱かないくらい、当たり前のものなんです。

そしてファッション業界にも今や使い捨て感覚は入ってきている気がします。

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