- 2005 年 12 月 26 日 7:52 AM
- 02 ブランド考察
前回の(1)の続きです。
パターンが特殊だとなぜ手間がかかるのか?
それはメンズのスーツには完全な基本パターンがあるからです。
逆に言えばメンズ服にはとてつもない制約があるのですね。
平面である生地を人体に沿うようにするためには、生地をバイアスにつかったり多くの切り替えやダーツを入れる必要があります。(レディースでは顕著ですが)
ところが男性のスーツには、シームやダーツ一つとっても入れる場所と数が決まっていたりする…。
(じゃぁ平面の生地をどうするかって言うと、アイロンによって生地を丁寧に曲げていく作業によって立体化していくのですね)
基本的パターンが同じなら、一般的なデザイナーズブランドのスーツなんかを、テーラーでコピーしてもらうことは難しいことではありません。
同じ生地さえ用意できれば、多少値段はあがるかもしれませんが、より高い縫製レベルでコピーすることができるはずです。
ましてやまともな職人なら、ちょっとしたパターンの違いは簡単に取り込めると思っていいでしょう。
ですが、テーラリングの基本を破壊して一からパターンを作り直すとなったら、そりゃオオゴトです。そういったデザインをなしえるためには、相当テーラリングに精通していなければならないのでしょう。
デザイナーが必ずしも洋服について詳しいわけではない、それどころかパターンさえ引けないデザイナーも少なくないという話しだし…そう考えると、制約だらけのメンズ服のパターンを再構築するということは、とんでもなく高度な技術が必要だといえるわけですね。(もしくはデザインのできる技術あるパタンナーが必要ってことでしょうか?)
色柄を変えたり、生地を加工したり、基本パターンにちょっとアイディアを付加するといったデザインだって、もちろんすばらしいものも多いと思います。
ただそれよりも、パターンを再構築することは目に見えて困難で手間隙かかるデザインだといえる。ある意味価値がわかり易いということだと思います(笑)
メンズでパターンの再構築をするブランドは多くないように感じますし、ましてやそれをクラシックスーツの領域にまで高めていけるテーラード技術のあるデザイナーはごくわずかだと思います。(かつてのアルマーニはともかく、個人的にハンツマンと組んだマックイーンはどうなのか?気になりますが、実物見たことないからなんともいえません…)
コムデギャルソン・オム・プリュス(メンズのコレクションライン)は、テーラードの破壊と再構築をテーマにあげることが多いのですが、特にパターンを再構築したデザインはすばらしいものが多いと思います。(あくまで素人判断で…という逃げは用意させといてください笑)
中でも2003年秋冬には、曲線による切り替えによって、背中にセンターシームのないデザインのJKを発表してました。
ちなみに既存にもセンターシームのないスーツが全くなかった…というわけではありません。イタリアの老舗テーラーなどでは、その代わり超絶アイロンワークを駆使して立体化していたそうです…。
ギャルソンはそれとは違った手法で、スーツのパターンを壊して見た目的にも面白い新しいパターンを作りあげた。その挑戦と完成度は素直にすごいと思うのですが、どうでしょうか?(ただその思想に工場の技術が追いついているかどうか…というのは別問題だと思いますが笑)
クラシックスーツを尊ぶ一方で、やはり全く新しいパターンのスーツを見てみたい…そう思ってしまう自分でした。
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