骨格とファッション


日本人に比べて欧米人の着こなしがカッコよく見えるのは、単に足の長さとか着こなしの違いだけではありません。骨格のつくりが根本的に違うのです。

日本人を含むアジア系人種が、短距離走に弱い理由の一つとして、骨格の違いもあるそうです。欧米人に比べて、日本人は頸骨(スネの骨)が湾曲しており、そのため短距離のような一気に地面にエネルギーを伝える走りは不向きなのだという話です。

日本人と欧米人では骨格が違う。悲しいけれど、それが現実なのですね。

そして骨格の違いは、当然服の作り自体にも影響してきます。


単純にサイズが小さいとか、足の長さとか、腰骨の位置とか、肩幅とか、そんな部分は実はたいした違いではありません。(本当か?)

日本人と欧米人の男性で最も骨格の違う部分、それは腕の付け根なのだそうです。

人間の身体を上から見て、胴体に対する腕と肩の角度が、日本人は前側(胸側)についているのです。欧米人と比べるとその肩の角度の差は平均15度以上というから驚きです。
日本人の猫背のイメージって、ホントに姿勢が悪いだけじゃなくて、元々前肩だからってのも大きな理由なのかもしれませんね。

で、当然欧米人より日本人のスーツのパターンは背幅を広く、前胸幅を狭くなる…すなわち前肩縫製ということになるはずです。

ところがスーツ雑誌などでは「XXブランドは、日本人体系にあわせた前肩縫製にパターンを変えて、腕を動きやすくした~」ってよくうたってます。でもなんで今更そんな風に、パターンを変更するのでしょうか?元々欧米製に比べて、日本のスーツ業界は日本人体系にあわせて始めから前肩縫製されていたはずなのです。
ところが単価の高い外国製スーツを売るために、日本人体系に合わないスーツを無理やり売りさばいていた…。
バブル期のルーズフィットが流行っていた頃なら大した問題じゃないかもしれないけれど、今では肩をぴったりあわせるややタイトフィットの着こなしが当たり前…。

結局どこぞのイタリア製のスーツが着易いとか言っても、パターンが日本人に合わないなら、それは生地や縫製の柔らかさとかとか別の理由だけなのでしょう。
スーツ雑誌とかスーツ業界は、決してホントのことは喋ってくれないけれど、消費者を騙しまくってきたんじゃないのか?って気がしてしょうがない…。
各セレクトショップは当然欧米製のスーツを直輸入しても日本人に合いにくいことを知っているわけで、それゆえに日本人体系パターンにあわせたスーツを別注生産しているわけですね。

幾ら既製品だから元々合わないのは当たり前といっても、本来肩で合わすといわれるクラシックスーツの、肩自体のパターンが合わないんじゃしょうがない。

大体試着する本人はわかりませんが、後ろはシワよりまくっているはずです。ただスーツは体型補正という部分もあるから、完全フィットするのが良いわけでもないですけど。(醜い体形をそのまま表示させてしまうことになるので…)
着用した人が「背筋がぴんと張るような着心地」っていうのは、それパターンが合ってない証拠です。オーダーなんかでは、ごく自然な立ち姿にフィットさせるものなのですから…。

デスクワークすると、実際肩と腕の付け根のパターンのあってない服ってすぐわかります。腕が重い…というか腕が前に伸ばせない場合すらあるので(笑)

さて、でもじゃぁ日本人が着る服は全て日本人のパターンにあわした方がいいかって言うと、そうとも言い切れない。(どっちなんじゃい!?)

海外のデザイナーズブランドでは、肩の動きなどを制限してさえも、見た目の美しさを重視したパターンを作ることがあるそうです。つまり動きやすさや着易さと、見た目の美しさとは必ずしも一致するわけではない…ってなワケですね。

大昔(20世紀末)に着た、ダークビッケンバーグのスーツ。黒地に黒の極太ステッチが入ったデザインで、硬めのサージ素材、肩も腕まわりもガチガチの縫製。肩幅も身幅も着丈も袖丈もぴったりで、着た時のシルエットのカッコ良さといったら、それはもう最高…。

なのにこんなに自分の体形に合わないパターンというものがあることを初めて悟りました。なにせボタンを全部留めると、腕をあげることができなかったのです。電車でつり革につかまることさえできない…。完全見た目重視の服でした…。

でもそれがカッコイイと思っていたときもあったんです(苦笑)

必ずしも日本人体形に合わせたパターンが良いと言い切るつもりはありません。ただ服飾業界、特に販売員はせめてその違いをきちんと説明する必要はあると思うのですが…。どうでしょうか?

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