個人向けスタイリストビジネスについて


最近ネット上で、パーソナルスタイリング(個人向けスタイリング)、コーディネートサービスと呼ばれるビジネスが流行っているようです。

早い話が、プロのスタイリストがあなたをコーディネートしてくれるというもの。

基本はどれも同じで、本人の要望と予算に応じてコーディネートを提供、レッスンしてくれるというもの。
手持ちのワードローブも活用してくれる上に、中には丁寧にお洒落のカウンセリングまで行い、ショッピングに同行してくれたりと、至れり尽くせりの内容です。

テレビ等メディアに出る人々は当たり前としても、最近は政治家などまでが専属スタイリストを雇うという時代。
お洒落に自信がない人にとって、自分にも専属スタイリストがついてくれるというのは、確かに魅力的です。

洋服選びには何かと失敗もつきものだし、そういったことを考えると、お洒落の近道として効率の良いお洒落ができるのかもしれません…。


ただその専属スタイリストの知識というのも、はなはだ疑問ありです。

どことは言わないですが、黒の革靴に茶の革ベルトという、おかしな組み合わせをコーディネートしている人もいました…。
いつも思うんですか、スタイリストってのはいい加減な人が多いんでしょうかね?(まぁごく一部の間違いだとは思いますけど…)

とはいっても、パーソナルスタイリストとは、やはり優れたビジネスであることは間違いないでしょう。

しかし自分はそういったビジネスが成り立ってしまうことが残念でならない、とも思うのです。

というのも昔ならスタイリストをお店の店員さんが兼ねてくれていたものだと思うんですね。
ただ服を売るだけなら、わざわざショップ店員などいらずに自動販売機で販売すればよいだけの話。むしろコーディネートをお店の店員さんと相談していけることが、店員さんの技術の一つだと思うのですね。

やはり優れた店員さんは、そのお店で購入した商品を全部覚えてくれていて、その上で様々なコーディネートを提案してきてくれたりするわけです。

ただ今ではそういった素晴らしい店員さんが少ないこともありますし、このご時世まともに店員さんとコミュニケーションさえ取れない人もいるわけで、だから専属スタイリストなんていう商売が成り立ってしまうのかもしれませんね。

それともう一つ、確かにファッションのカウンセリングを行ってもらい、自分に適したファッションや、基本的なファッション知識等を教えてもらえることは大変嬉しいことです。
しかしコーディネートを人任せにしてしまうということは、お洒落の楽しみを失っているともいえるのではないでしょうか。

本来お洒落はその過程をも楽しむもの。そして色々悩み失敗を繰り返すうちに、それが経験となり、本人の知識やセンスまでをも磨いてくれるものだと思うのですね。

ファッションに無関心な人は「外見より内面が重要」と言いますが、それは言い訳にすぎないのではないでしょうか。

あるデザイナーの台詞、「内面は良くて当たり前、だからこそ外見を磨くことが重要なのだ」と。
まさしく核心をついていると思います。外見までも磨くべき時代だからこそ、コーディネートサービスというビジネスが成り立つのでしょう。

ただ人任せのコーディネートでは、知識も経験も身につかない。結果だけでお手軽にお洒落になれてしまうというのは、非常に危険をはらんでいるように思います。

それは内面のない、ただの外見だけの人なのではないでしょうか。

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